競争優位の源泉は何か

石井さんのブログで、事業機会をもたらす要因について考察されていました。
面白いテーマなので、トラックバックさせてもらいます!
 
「事業機会をもたらす要因は何か」
 
この問いは「競争優位の源泉は何か」と言い換えてもいいかもしれませんね。
石井さんのブログでは、「物質の差」「能力の差」「知識の差」「予測能力の差」「感情(感動・幸福)をもたらす能力の差」について触れられていました。
 
俺は、地理的な「物質の差」は今後も事業機会を生み続けると思います。その根拠は、物流コストは今後もずっと下がり続けるとしても、絶対ゼロにはならないからです。鉱物や化石燃料は地球上に偏って存在しています。同様に、農作物や魚介類にも偏在性があります。この偏在性をコストゼロで均一化する事はできないので、地球上には必ず有利不利ができるのではないでしょうか?
 
「能力の差」に関しては、よく分かりません。飛ばします(笑)
 
次に「知識の差」ですが、世間では知価社会が叫ばれているので、世間では「知識の差」は当然競争優位をもたらすという見方が強いのですが、俺は最近これはダメな気がしてます。その根拠は、「知識の差」を堅持しようと知財に関して機密性を高めると、オープン戦略が取れないからです。LinuxWikipedia、それに「株式会社はてな」などが体現しているオープン戦略の力強さを見ると、不特定多数の人間のコラボレートが持つ能力の偉大さスピード感に感服せざるをえません。オープン戦略が取れないという欠点に加え、知識自体の競争優位性も疑問です。
 

知られてしまったら競争優位性が失われてしまうなんてものは、もともと競争優位性としては脆すぎる
http://d.hatena.ne.jp/naoya/20050610/1118379135

 
というnaoyaさんの言葉にはいたく共感できます。知られただけでマネされるような物は、いつかその差が埋まってしまう物なのだと思います。それを避けようと権利化を進め、機密性を保持すればするほどコストがかかります。特許取得費用、秘密管理の費用、アクセス制限や入退室管理までしなければなりません。これらを完璧に整備するのに、どんだけの金と時間がかかるのでしょう。技術が5年で陳腐化する時代には、そんなコストを掛けてないでさっさと先に進んだほうがいいのではないでしょうか?
 
知られても簡単にはマネできない。それが本当の競争優位の源泉となるような気がします。その意味で大きいのは「文化の差」ではないかと考えています。文化は一朝一夕にはマネできません。トヨタの競争優位はそこからきていると一般的に認識されていますし、日本の競争優位性も、生真面目で高い協調性を持った国民性から来ていると考えられます。この点に関してはジェームズ・C. コリンズの「ビジョナリーカンパニー」が参考になりそうです。
 
「感情(感動・幸福)をもたらす能力の差」は面白い視点ですね。以前から、「感動を売れ!」なんて言葉がありましたが、最近のコンテンツビジネスを見ると興味深いです。昔は有料でコンテンツ自体を販売していたのですが、最近は、コンテンツは無料で配信、コアファンから違う形でお金を取るというビジネスモデルに変わりつつあると感じます。いろいろな意味で感動させないとコアファンにならないわけで、このような時代には、「感情(感動・幸福)をもたらす能力の差」は企業収益性に如実に効いてくると思います。
 

音楽は人によって、単なる情報で終わる場合とすごく大事な作品になる場合がある。でも、まず判断してもらうためには聴いてもらわないと仕方ない。だから、情報ならタダでもいいんじゃないかと。そしてたくさんの情報の中から、その人にとっての気に入った「作品」を見つけてもらう。お金をもらうのはそこからだと考えたんです。
http://japan.cnet.com/interview/story/0,2000050154,20086678,00.htm

この247MUSIC丸山茂雄さんの言葉が今後の世界を暗示しているような気がしています。情報やモノがあふれる世界で、お金を取れるのは、コアファンになってもらってからなのではないでしょうか?
 
以上、まとまりませんが!