被災地の復興策を考える(その3)

気仙沼に詳しい知人がいるので、いろいろ教えて頂きました。
そこから、気仙沼市の復興策を考えてみます。


まず、気仙沼の場合、産業のコアは漁業、そして水産関連業である。
他地域だと少なからず存在する、非水産の工場等は少ない。との事でした。
資料を当たっても、下記のように気仙沼の地域経済に与える水産業の影響はかなり大きいようです。


気仙沼地域のブランドの形成と戦略 宮城大学食産業学部教授小田勝己

12年度から13年度の市総生産額の増加に対する水産業の寄与率は205.9%,
13年度から14年度の減少に対する水産業の寄与率は59.8%となり,気仙沼市
経済活動に与える水産業の影響がいかに大きいかを物語っている。


さらに、同じ水産関連と言っても、漁業と養殖では復興に当たっての課題も異なるという事が分ってきました。
養殖:農業に近い。長期スパンの復興。
   高齢の個人事業主が多く、養殖イカダ等の設備投資が重い。
漁業:比較的短期での復興可能。沖合いに出ていた船が多くそれらは無事。
   しかし、水揚げ施設、倉庫、製氷、加工工場など、関連設備を整える必要あり。


下記のように、船が無事なのは不幸中の幸いでした。
今後はこの資産を活用して、漁業をどうやって素早く再興させるかがキーになると思います。
「海がある限り不滅だ」がんばれ気仙沼:日経ビジネスオンライン

気仙沼港に係留していたマグロ漁船はほぼ使用不可能になるくらいの損壊を受けたが、
ほとんどの船はおよそ1年前後続く遠洋での操業中で無事である。


地元では、カツオ水揚げの実現を当面の目標に掲げる。という事になったそうです(出典)。
下記にも市長の言葉があります。
被災地から:魚市場復興支援を 菅原茂・宮城県気仙沼市長

海がある限り気仙沼は不滅です。まず魚市場を早期に再開して市民の生活と復興のスタートにしたい。
 主力のマグロ漁船の扱いは当面難しいでしょうが、6月からのカツオ漁に間に合わせたい。
まちの再生は、市場を開くことから始まる。従来の半分でも3分の1の規模でもスタートが切れればいい。
加工ができなくても氷詰めで出荷するだけでもいい。水産業界と相談しながら、まずできることから始めたい。


そこで、私ができる事を考えてみました。
現在、ある企業の方と、復興支援ファンドの立ち上げに関して意見交換しています。
こんなファンドはどうでしょうか?


1)漁業支援ファンド(ネーミングは別途考慮)
ファンド資金で、漁港にCAS冷凍システムを導入。
水揚された鮮魚やその加工品をCASで冷凍。
付加価値UP、長距離輸送も可能になり売上増。
その収益orCAS使用料からファンドへ還元。


CASは株式会社アビーの新冷凍技術でご存じの方も多いと思います。
この効果は広く知れ渡って来ましたが、実際の導入に関しては、
CAS凍結センターの設置に数億円かかり、民間では資金不足。
官主導でもうまくいかないようです(出典:秋田の例)。
これをファンド資金でやってしまおうという考えです。
復興に当たっては、被災地の産物を「売れる強い製品」にしなければいけません。
いつまでも同情による購買は期待できないので、
この際、最新式の設備で付加価値向上を目指すべきだと思います。



2)「養殖支援ファンド」(ネーミングは別途考慮)
ファンド資金で会社を作って(もしくはM&A
養殖イカダ等の設備投資&運転資金拠出。
これまでの個人事業主には生産委託し作業をお願いする。


被災者が設備投資をできないのであれば、
ファンドで設備投資し、実際の生産はこれまで通り、
生産者の方にお願いするという形です。
リスクを個人からファンドに移転するのです。
いかがでしょうか?


この方式を応用して、被災地の地域ブランドの産物毎に
ファンドを作って展開すれば、かなり良いのではないかと思います。
ご意見等ありましたら、ぜひコメント頂ければ幸いです!