パプリカは宮城で作ります

日本のパプリカのほとんどは輸入物ですが、これからは宮城で作ることになります。今度から、パプリカを見たら、宮城を思い出してください。


豊田通商、栗原でパプリカ生産 宮城が全国一に(2008年08月09日,河北新報)

 トヨタ自動車グループの豊田通商名古屋市)は8日、2009年に宮城県栗原市でパプリカ生産を始めると発表した。同社が農業生産に参入するのは初めて。10年には果実、野菜販売世界最大手の「Dole(ドール)」日本法人が登米市で生産を開始する予定。両社の生産が本格化すると宮城県は全国トップのパプリカ生産地になる見通しだ。

 生産は、豊田通商の100%子会社である豊通食料(東京)と地元農業者6人が7月下旬に設立した農業生産法人「ベジ・ドリーム栗原」が担う。総投資額は2億2000万円。

 近く県農業公社が所有する栗原市高清水福塚の農地約80アールを取得し、今秋にもビニールハウス(約70アール)の建設に着手。従業員として10人程度を雇用する予定だ。

 09年1月から養液栽培で生産を始め、同年夏ごろの初収穫を見込んでいる。生産能力は年間140トン程度で全国の大手小売店に出荷する。

 宮城県のパプリカ生産量は年間54トンで全国11位。Doleなどによる県内生産量を合算すると約900トンとなり、生産日本一の熊本県(623トン)を抜く。

 豊田通商広報・IR室はパプリカ生産への参入について「国内農家との競合が少なく、商社として確立してきた販路を流通に活用できる」としている。

 パプリカの養液栽培は多額の設備投資を要し、個人農家では困難とされる。県農林水産部は「大手資本と地元農家のノウハウが結び付くことで、付加価値の高いパプリカを大量生産できる」と期待を寄せている。


この事業の肝を解説している文章がありました。


農協も農家も怒らない 豊田通商“パプリカ生産”の秘密(ダイヤモンド・オンライン)

「投資額は約2億円と商社としては小さく、たいして儲かる事業ではないし、地味にやっていくだけです」。実働部隊となる子会社「豊通食料」の笹川徹取締役はいたって控えめだが、ある業界関係者は「国内消費量(2万5000トン)の実に96%を輸入に依存するパプリカを栽培作物に選んだのは、うまい戦略ですよ」と高く評価する。

 宮城大の大泉一貫教授(農業経済)が「企業の参入で、農家や農協が最も恐れるのは、自分たちのパイを奪われること」と指摘するように、農業に参入したはいいが、彼らの協力を得られず経営に苦しむ企業は少なくない。

 そこで豊通は、輸入主体で国内の農家と競合しないパプリカであれば、地元の抵抗感も薄まると考えたわけだ。温室の整備など数億円の設備投資を要し、個人農家では難しい「施設野菜」である点も好感されたようだ。この参入に対する関心は高く、同社や宮城県には全国の自治体などから問い合わせが相次いだという。


なるほど、アグリビジネスは成長ビジネスとして注目を集めつつありますが、企業の参入には農業関係者の心理的抵抗が高いのですね。しかし、それをうまくクリアしないと、東北の未来も無いわけです。パプリカを突破口に、農業関係者との協力体制を築こうという豊田通商の動きは注目です。


P.S.
でも、これを東北外の企業にやられてしまうというのが、なんとも悔しいですね。東北の総合商社(カメイとか)が考えなければならないことだと思います。