ビジネスマンには非効率な時間の使い方も大切かもしれない

先日、玉露を飲む機会がありました。
玉露を入れる時には、人肌ぐらいのお湯を注ぎ3分待ちます。


3分後、急須から玉露を注ぎます。


しかし、急須から液体はほとんど出て来ません。


驚きでした。玉露の一番茶は、茶葉が水分を吸うので、ほとんど出て来ないのですね。ようやく取れたのは、小さなおちょこ半分ほどのお茶。それを、ちびりちびりと味わいます。しかし、またまた驚いたのは、その味の濃厚なこと!「ダシのようだ」と言う人もいるとの事。納得です。


一度出した茶葉はそれで終わりではありません。その後、何度もお湯を注ぎ、待ち、二番茶、三番茶の味の違いを楽しむのです。最後にでがらしになった茶葉はどうしましょう?もちろん、これも楽しみます。なんと、茶葉にポン酢をかけて食べてしまうのです。しかも、これがおいしい。青菜かほうれん草のおひたしみたいな感じでした。


このようなお茶の飲み方はとても新鮮でした。
時間をかけて、少量のお茶の細部の味の違いを楽しむ。
そこには普段の生活とは異なり、時間がゆったりと流れていました。
大袈裟に言えば、感性がとぎ澄まされ、何か人間性を取り戻したような感じがしたのです。


このお茶を味わいながら気づいたのは、自分はいつも効率を求めすぎてやしないか?という事です。貧しい時間の使い方ばかりしているのかもしれないと思いました。


非効率だけど豊かな時間というものを、定期的にとったほうが良いかもしれない、と思いました。
効率ばかり意識するのは、お金で例えれば、買い物を常に百円ショップですますようなもの。
価値の軸が単一になってしまって、多様な価値に対する感性を失ってしまっているのです。


そういえば、戦国時代の武将はお茶をたしなみます。
また、すぐれた事業家は時に優れた文化人であったりします。
あの人たちは、忙しいさなか意識的にそういう時間をとっていたのかもしれませんね。
感性はビジネス上、非常に重要なものですから。