アフリカで思ったこと。

takeixxx2005-08-31

みなさんは、アフリカ人をイメージできるだろうか?明るくて、朗らかで、でもちょっと、あつかましくて。不真面目で。」なんていうイメージを持っている人が一般的かもしれない。「生活苦で暗くて、飢えていて、外国人を見れば物乞いに集まる」というような感じを想像する人もいるだろう。
 
しかし、俺が見たアフリカの人々は、それとは全く違った。
ウガンダの街を歩く。もちろん、周りはみんな黒人。
街行く人々は目の端でこの日本人を捕らえ、意識している。しかし、誰も話し掛けてこない。オーストラリアのような街に受け入れられる感じとも、香港のような街に埋没する感じとも違った。これはどこかで見た事がある。日本だ。日本を歩く外国人はこんな感じを受けるんだろうなと思った。
 
ウガンダの人々。彼らはとても内気でシャイだ。
しゃべり方にしたって、もごもごしゃべる。関西人よりは、東北人に近い。
挨拶をしても、「ハ〜イ☆」なんて、オーストラリア人のような返事は返ってこない。
ちょっとハニカミながら、「ハロォ」みたいな感じ。
 
そして彼らは、礼儀正しく、親切だった。
観光地などでおなじみの外国人相手の強引な売り込みは、ここでは全くなかった。深夜にチェックインしたホテルでは、就寝中を起こしてしまったにも関わらず嫌な顔一つせず親切に対応してくれた。乗合バスの中では、みんなが雑談もせず、行儀良く座っている事にも驚いた。悪路に差し掛かっても、子供でさえおとなしく座っている。最近の日本人のほうがよっぽど行儀が悪い。
 
そして彼らは、意外に豊かであった。
都市部はもちろん、田舎に行っても、飢えている人は全く見なかった。物乞いやホームレスも少ない。東京都内のほうがよっぽどヒドイありさまだ。もちろんボロボロの家に住んでいる人も多いので、日本の基準で言えば「貧しいのねぇ」という事になるのだろうが、食っていくのにはさほど困っていない印象。そこらじゅうでバナナや果物がなっているからだろうか。鶏、牛などの家畜も、放し飼いで勝手に成長しており、食料は簡単にゲットできそう。この国では、生きていくのにそれほど現金収入は必要無いのだと思われる。物売りがやる気無い事からもそれが伺えた。発展途上国の観光地でよく見られる「買って買って」と外国人を囲むようなシーンはこの国では皆無だった。それから驚いたことに、携帯電話所持率が高い。これはメキシコに行ったときにも観察されたし、他の旅行者に聞くと東南アジアでも見られるようだが、みんな、家はボロでもなぜか携帯電話だけは持っているのだ。しかもたいがいノキア製である。
 
そして彼らは、洗濯好きであった。
スラムっぽい家の軒先にさえ、毎日、毎日、洗濯物が並ぶ。そういえば、待ち行く人は、みんなキレイな汚れていない服を着ている。それは、文明人としての誇りなのかもしれない。文化水準も思ったよりずっと高そうだった。一般的な庶民でも、プレミアリーグのサッカーを見て盛り上がり、新聞を買って読む。みな流暢に英語をしゃべり、識字率も高そうだった。
 
今回の旅で、自分の中のウガンダ人のイメージは、一人の青年によって、形成されたと言っていいかもしれない。それは、野生動物を見に行くときに雇った若い運転手である。彼はデコボコ道の悪路の中を延々と運転し、ヘトヘトに疲れ果てているにも関わらず、さらに車を飛ばして予定に無かった絶景ポイントまで連れて行ってくれた。国立公園の退出時間を過ぎているにも関わらず無理をして連れて行ってくれたのだ。そこは、本当に素晴らしい場所で、彼は純粋にそれを見せたいがために車を飛ばしてくれたのだ。チップをせびるような事も全くなく、「すごく満足した。ありがとう」と俺が言うと嬉しそうにしていた。口数が多くはなかったが、とても感じの良い青年であった。
 
「The Pride of Africa」
 
これは、ケニヤ航空のキャッチコピーである。
行きの飛行機でこれを見た時、俺は「ぷっ」っと軽くバカにしてしまった。「アフリカのプライド」というのが全くイメージできなくて、発展途上国のくだらないプライドか?なんて思ってしまったからだ。しかし、自分はここで謝罪しなくてはならない。自分は無知で、偏見の塊であった。TV等で創られたようなイメージを鵜呑みにして、分かったようなつもりになっていたのだ。自分は今、この地球上にアフリカが存在するという事を、本当の意味でようやく理解できたのだと思う。ここには、敬意を払うべき人々がたくさん住んでおり、アジアと同じように独自の特色を持った高度な文明が存在する。まさに「The Pride of Africa」を持った人々が存在するのである。