2035年、東北の将来像

荘銀総合研究所から、「市町村人口から見た東北地方の将来像」というレポートが出ていましたので、紹介します。
http://www.sfsi.co.jp/report/0808.pdf


今から約30年経つと、東北の人口は2005年963万人→2035年743万人となり、220万人も減ってしまうそうです。こうなると、人々は郊外を捨て都市部へドンドン移動します。


2005年の各市町村の人口を100とすると、2035年では仙台圏は91、仙台以外の都市圏では80、それ以外では66になるとのこと。つまり、都市圏では減少率が10〜20%ですんでいるのに、郊外では34%も減少するということです。ただでさえ人口の少ない郊外で、さらに人口減少が起こったらどうなるでしょうか・・・


2035年には約1割の市町村で、老年人口比率が50%以上、いわゆる「限界自治体」になってしまうとのことでした。「限界自治体」では、税収入が激減し、老人福祉と高齢者医療の支出増で財政維持が困難になります。つまり、ゴーストタウンのようになるってことです。


これをどうみるか。


確かに、由々しき事態ではありますが、私はある意味しょうがないのではと思っています。そもそも海外に比べ、日本では郊外にも割と均等に人が住んでいますが、それはなぜかと考えると、戦後の農地改革で小作人が小さい農地を与えられ、その土地をベースに生きてきたからだと思います。もし当時、農地改革がなく、地主・小作関係が継続していれば、小作人は早々と離農して都市に出てきていたかもしれません。今、60年の時を経て、それが進行中ということだと思います。経済のグローバル化がそれに拍車をかけています。


それでもあえて、郊外をどうにかしようということであれば、どうすれば良いか?


人が生活するには、なんらかの仕事が必要です。しかし、多くのビジネスは人の集積がなくては成り立ちません。製造業にはたくさんのワーカーが必要ですし、サービス業にはたくさんの顧客が必要です。したがって、人の集積がない郊外で、ビジネスを成り立たせるのは非常に難しい。成り立つ可能性があるのは、農業とIT、この2つしかないのではと思います。なぜなら、農業は土地が資本のビジネス、ITは時空を超えられるビジネスだからです。