世界中から「メリークリスマス」と発声した人を検索しよう


ネットと録音装置さえあれば、誰もがミニラジオ局を開設できる。それがポッドキャストです。このポッドキャスト、世間では最近とても流行っていますが、趣味の世界だけでなく、ビジネス界もこれから大きく変わっていくぞ!と私は思っています。そのポッドキャストに、強力なツールが登場しました。音声ファイル中で話されている単語を検索できるサイトPodzingerBlinxです。


試しに、Podzingerで「merry christmas」と打って検索してみましょう。


ほら、テレビやらラジオやら素人同士の会話やら、たくさんの音声ファイルがひっかかりました。しかも音声ファイルの何分何秒のところに「merry christmas」という単語が発声されたかなんて情報まで表示されます。これ、すごくないですか??このサイト日本語にはまだ対応していませんが、あなたがネットにアップロードした音声ファイルが検索されるのも時間の問題かもしれません。(日本語ダメですが、試しに「koizumi」と入れると、小泉首相関係のファイルがひっかかりますよ)


この技術を使えば、いろんな事ができます。好きなミュージシャンの音源などは、なんでもかんでもみつける事ができます。ラジオ中の「次は"北島三郎"で与作。。。」なんて曲紹介も検索されるし、「ねえねえ、"北島三郎"ってかっこよくない!?」なんていうファン同士の会話、「では、"北島三郎"さんの今年の抱負をお願いします」なんてインタビューも全部検索できるようになるでしょう。


それから、英語学習に応用すれば、お仕着せの音声教材でなく、自分の興味のある会話のファイルを見つけてくる事が可能です。これなら、あきっぽい私も三日坊主にならないかもしれませんね。


さらに、世界中の人々が、会議内容や日常の雑談をファイリングしていく事によって、人々の頭の中が繋がって、物事が進むのが加速していくだろうと思います。少なくとも、口コミの伝播速度は早くなりそうです。音声なので、活字にされる建前論だけでなく本音の話が多く見つかるかもしれません。また、「はてな」みたいに、キーワードごとにリンクをつなぐようにすれば、興味が近い人同士が出会う確立も高くなるでしょう。


それから、これは、社内の情報システムにも使えます。実際にIBM社内のポッドキャスティング活用を進めています。そこに、この検索エンジンを活用すれば効果的です。会議の議事録を全て音声ファイルで保存し、必要に応じて検索すれば、忘れ去られていた過去の議論内容、ノウハウ、アイデアなどを掘り起こす事も可能です。実際に、そのような事を目的とした電話・会議用音声検索用のソフトもあるようですね。議事録を文字で残すよりも簡単ですし、言った言わないの水掛け論もこれで終わりです。また、組織内では、どうしてもトップと現場の情報格差が生まれてしまいます。ある事項を、全社に伝達しようとすると、一度説明した事を何度も何度も言わなければいけません。こういうツールでそれが改善されれば、全ての面においてもっと効率的な運営が可能だろうと思うのです。


あと、もう一つ面白いアイデアがあります。このようなツールをうまく使えば、ある人物がたとえ死んでも、影響力を残し続けるのではないかと思うのです。例えばもし、アインシュタインの日々の会話を音声ファイルとしてずっと蓄積していたら、活字にならなかった彼のアイデアや思想を後世の人が活用する事が可能になります。つまり、彼の功績は彼の死後も次々に生み出されると思うのです。また、会社など組織においては創業者の理念を音声ファイルや動画ファイルで残しておくのが良いと思います。理念を継承するのは難しい作業ですが、これなら100年後のメンバーにもその想いが雰囲気ごと伝わります。文字にすると情報の80%ぐらいはそぎ落とされてしまうので、効果的ではないかと思います。そこに、先ほどの検索エンジンを使えば、創始者が「後継者」に関してどう考えていたのかという事も、音声ファイルデータベースの中からサクッと検索して知る事が可能になります。


こんな感じに、今後、世界はどんどん変わってくると思うのですが、どうでしょう?みなさんは、どう思いますか?


【参考】
ポッドキャスト内の言葉を拾う検索エンジン(WIRED)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20051202301.html

ブログを検索できる『テクノラティ』と同じように、ポッドキャストを探せる検索エンジンが新たに2つ登場した。ポッドキャストをキーワードで検索し、欲しい音声ファイルを正確に探し出せるのだ。

『ポッドジンガー』 (Podzinger)と『ブリンクス』 (Blinx) の新バージョンは、音声をテキストに変換してインデックス化することにより、キーワードによる音声コンテンツの高速検索を行なう。従来の検索エンジンは、音声ファイルの概要を説明した見出しや紹介文など、ポッドキャストメタデータに含まれるキーワードだけを検索対象にしていたので、これは大きな前進と言える。